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ロンドンの下町、イーストエンドの名物料理はなんとウナギ、ノスタルジックな大衆食堂の長椅子に座って地元の人と一緒に味わってみては?

お店を正面から撮ってみました

お店を正面から撮ってみました

こんにちは、ロンドンナビです。蒲焼き、うな重、ひつまぶしなどなど、日本人が好きなうなぎ。ヨーロッパでもオランダやスペインでは燻製にされたものや稚魚の缶詰が売られていて結構ポピュラーなお魚のようです。そして、ここロンドンにもうなぎが食べられるお店がある、ときき、さっそく行ってみました。

地元の人に愛されるお店

骨董市が立つバーモンジー・スクエアから徒歩数分

骨董市が立つバーモンジー・スクエアから徒歩数分

タワーブリッジの南側、サザーク地区のタワー・ブリッジ・ロードをどんどん南に歩くこと15分、不安になって近くにいたおじさんにお店の場所を聞いてみることに。もう、すぐそこにお店はあったのですが、道順を教えてくれたおじさんが最後に「Manzes最高」と投げキッス! 地元の人たちに愛されているお店だということがわかります。でも英国のうなぎ料理って聞いたことがありません。いったいどんなものが出て来るのか・・・ちょっぴり不安なナビ。
パイ&うなぎの文字が誇らしげ

パイ&うなぎの文字が誇らしげ

いすとテーブルはなんと木製

いすとテーブルはなんと木製

いかにも歴史を感じさせるカウンター

いかにも歴史を感じさせるカウンター

ありました!緑色のひさしにM.MANZESの文字。お店をのぞいてびっくり。椅子は横に長い木製のベンチ、壁は古めかしいタイル貼り。天井にはなんともノスタルジックな扇風機が回り…タイムスリップをしたようなレストラン、というよりは食堂ですね。こちら「マンゼズ」の創業はなんと1902年、つまり100年以上続いているお店なんですよ。
入口横のカウンターの向こうには、やっぱりちょっと昔風な緑色の制服に白いエプロンをつけた女の人が3人。ここに並んで注文をして、先に支払いをして、自分で品物を受け取る、どうやら仕組みはファストフード店のようです。ナビが訪れたのはお昼時だったせいか、カウンターの前には行列ができていました。

うなぎ料理は2種類

価格表。パイとマッシュの量で細かく値段が違います

価格表。パイとマッシュの量で細かく値段が違います

列に並びながら、店員さんの後ろに貼ってあるメニューを覗くナビ。あります、あります、うなぎ(eels)料理が…ジェリード・イール(Jellied eels)とイール&マッシュ(Eels & Mash)。うなぎ料理はこの2つみたい。でも、あれれ? 誰もうなぎなんて注文している人がいません。常連ってかんじのお客さんが受け取っているお皿にはどこにでもあるパイに、マッシュポテトが添えられているものばかりです。
お店の作りはなんとも古風

お店の作りはなんとも古風

そうなんです。ナビは知らなかったのですが、英国には昔からこの「パイ&マッシュ(Pie & Mash)」というお店があり、そこで人々はうなぎを食べていたのです。うなぎはかつてテムズ川でも獲れたため、下町の労働者がよく食べていたそう。安くてタンパク質たっぷりの庶民の食べ物だったのですね。パイにもかつてはうなぎが入っていましたが、今はそのほとんどが普通のひき肉などが入ったミートパイに取って代わられているようです。

今ではもうテムズ川のうなぎを食べることはできませんし、うなぎも安くはありません。実は「マンゼズ」のような昔ながらの「うなぎパイ&マッシュ」のお店も、ハンバーガーやピザなどの店に押されてしまい、ロンドンからはどんどん姿を消しているのです。
テーブルにある調味料をかけて食べる人も

テーブルにある調味料をかけて食べる人も

2つあるうなぎメニュー、とりあえず両方頼んでみましょう。
窓側に置かれた銀色の鍋からまず出てきたのは、ジェリード・イール。ぶつ切りにされたうなぎの煮こごり、です。このキラキラしたジェリーはコラーゲン?さらにその隣りの鍋が同じくぶつ切りのうなぎのシチュー、そこにマッシュポテトがたっぷり載せられます。うなぎを煮込んでいるソースはリカー(liquor)と呼ばれ、ここマンゼズのリカーはパセリの入ったうす緑色のもの。創業以来のレシピで作られているそうですよ(ちなみにお酒はまったく入っていません)。
ぶつ切りうなぎとにこごりからなる「ジェリード・イール」。小骨が多くて食べるのがたいへん

ぶつ切りうなぎとにこごりからなる「ジェリード・イール」。小骨が多くて食べるのがたいへん

「ジェリード・イール」を接写。日本のうなぎとは似ても似つかず…

「ジェリード・イール」を接写。日本のうなぎとは似ても似つかず…

うなぎのシチューとマッシュポテト。パセリ入りのソースがかかってます

うなぎのシチューとマッシュポテト。パセリ入りのソースがかかってます

カウンター越しにはマッシュとソースが…

カウンター越しにはマッシュとソースが…

お店によってこのリカーが様々で、まさしくこれが「秘伝のタレ」というわけ。ちょっと、この青白いぶつ切りのうなぎを前にひるんでしまったナビですが、冷たいジェリード・イールは、さわやかであっさりした味。テーブルにある少し辛いとうがらし入りのモルトビネガーをかけるといっそうおいしく食べることが出来ます。
シチューを煮る鍋も

シチューを煮る鍋も

暖かいシチューのほうもマッシュポテトとリカーが混ざりあい、なんともやさしい味わい。さすがに自慢のリカーだけのことはあります。ただ、うなぎは本当にそのまま切っだけなので小骨には気をつけなければいけないので要注意。
ジェリード・イールはスーパーの鮮魚コーナーで売られていることがあります。タッパーに入れてはかり売りされています。見かけから英国人でも食べたことがない人が多いうなぎですが、意外にも需要はあるみたいですね。「マンゼズ」のお店にも来店したたくさんの有名人の写真が飾られていました。
包み紙まで古風。かっこう良すぎて捨てられない?

包み紙まで古風。かっこう良すぎて捨てられない?

顧客への注意書きも張り出されている

顧客への注意書きも張り出されている

ミートパイをテイクアウェー!

持ってかえって、試しに2つに切ってみました

持ってかえって、試しに2つに切ってみました

日本で食べるうなぎとは全く異なるものでしたがロンドンのうなぎ、ナビ的にも満足でした。うなぎだけでお腹がいっぱいになってしまったのですが、どうしてもミートパイも食べてみたくて、テイクアウト。サクサクした皮とミートパイ なのにあっさりとした味のパイはそのままでも充分おいしかったのですが、お店ではこのパイにもリカーをたっぷりかけて食べている人が多かったです。今度は そんな秘伝のタレたっぷりのパイ&マッシュをレトロなお店で地元の人と一緒にゆっくり味わってみたいと思ったロンドンナビでした。
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記事登録日:2010-12-14

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上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

スポット登録日:2010-08-02