ロンドンの世界遺産。英国が誇る宝飾物を堪能するもよし、血塗られた歴史を暴くもよし、見どころ満載。
こんにちは、ロンドンナビです。ロンドン塔は1070年代に建設が開始されて以来、ロンドンを守り続けて来た城塞。いままで王の居住地、議会の会場、公文書館、王室の財宝保管所、牢獄、動物園、銀行など多くの役割を担ってきました。長い歴史が詰まっているためロンドン塔におけるエピソードは数知れません。しかしそのなかで、一番知れ渡っているのはやはりこの塔で処刑された人々の亡霊といえるのではないでしょうか。政治に翻弄され苦渋を飲んだ人々の魂が今でもここには生き続けているといわれています。今日はそんな見どころ満載、ロンドン塔のオススメスポットを紹介しましょう。
ヨーマン・ウォーダーのツアー
ヨーマン・ウォーダーが愛嬌たっぷり説明してくれます
ロンドン塔に入場してすぐの場所に「ヨーマン・ウォーダー・ツアー」の集合場所があります。ツアーは30分ごとにあり、所要時間は約1時間。ヨーマン・ウォーダーが独自に考え、工夫を凝らした「パフォーマンス」で見学者を歴史の中にいざないます。だからコースは同じでもヨーマン・ウォーダーによって内容は千差万別。何度聞いても新しい発見があるし、コメディー・ショーを聞いているように面白おかしく話してくれます。
ヨーマン・ウォーダーって!?
14世紀からロンドン塔を守ってきた人たちでその昔はお給料ではなくお肉(昔は高級品でした)を支給されていたからビーフ・イーターというニックネームでもおなじみ。ヨーマン・ウォーダーは22年以上軍隊で勤務した退役軍人の名誉職。夜警、見学者の安全確認などの任務をしているんです。
入口でまずはサワリを
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ベル・タワーの前で公開処刑のお話・・・
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囚人がロンドン塔に入ってきたトレイターズ・ゲートについて
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タワー・グリーンで処刑されたアン・ブーリンにまつわるお話
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ヨーマン・ウォーダーの住む家
実はこのヨーマン・ウォーダー、ロンドン塔内に住んでいるんです。見学者からは見えにくい写真の場所と公開されているところでは青い扉の家は実際に現在でもつかわれている家なんです。それにしても幽霊が怖くないのかしら。
ホワイト・タワー
ロンドン塔のなかでも最初に作られた基礎になる建物。3階建てのその作りはなーんとなく日本のお城に似ているような印象がします。ここは500年以上に渡り、イングランドの軍需品を管理してきた場所、現在は素晴らしい武具と甲冑の展示が楽しめます。わかりにくい外の階段を上り中に入るとまず目に入ってくるのが現代的に展示されたヘンリー八世のよろい姿。まさに今から戦いに向かうような馬に乗ったヘンリー八世のよろいは美しい光のアートで活き活きと輝いています。
プラモデルのように転じされているよろい
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光の中に包まれて今にも動き出しそう
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どの王が愛用していた剣か一目瞭然
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体のサイズにオーダーメード!
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観光客がこの前に殺到。日本のものはとってもクール!
1613年、徳川幕府の2代将軍徳川秀忠からジェームズ1世へ贈られた日本の鎧かぶとも展示されています。なんとこの鎧かぶと、1662年からこのロンドン塔で展示されているそうですが、当初はムガール王国のものとして展示されていたんですって。
17世紀からの伝統的な展示「ライン・オブ・キング」。王の顔と等身大の馬がずらりと並びます。
異様な雰囲気で並ぶ顔
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真ん中はヘンリー八世
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ズラリと並ぶ馬
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一頭でもなかなか存在感があります
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光が差し込むチャペル
ホワイト・タワー内にはチャペルがあります。13世紀の改築されてからの姿を今に残す非常に美しいチャペル。なんだか神聖な気持ちになります。
木の柱がなんだか日本のお城みたい
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造幣局だったこともあります
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歴史がよくわかる展示室
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地下の大砲
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牢獄として・・・
カトリックであるというだけで投獄されたアラデル伯フィリップ・ハワード
ロンドン塔と聞くとなんだかおどろおどろしいイメージが浮かんでくる人は多いはず。それもそのはず、城塞として建てられて間もない1100年からすでに牢獄として使われ19世紀後半までその役割を担ってきたからです。
拷問具
ロワー・ウェイクフィールド・タワー
「ロワー・ウェイクフィールド・タワー」はその歴史を一番恐ろしく展示している場所。タワーとは名ばかりでそこはテムズ川の水と接するほどの低い場所にあり湿った空気が残酷な拷問を際立たせています。
恐ろしくて想像もしたくない
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念入りに説明を読む観光客
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石の冷たさを感じるシンプルな部屋
ビーチャム・タワー防壁の一部として建てられた「ビーチャム・タワー」は断続的に牢獄として使われていました。タワーに入ってすぐ左手の小さな扉をくぐり階段をのぼり上階へ行くとそこには囚人たちが残した生々しいグラフィティを見ることができます。
囚人たちの残したグラフィティ
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複数の囚人が生きた証を残そうとしました
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囚われの身もいいかな?と思わせてくれる部屋
ブラディー・タワーとはいっても、政権争いなどで身分の高い人が囚われていたことも多く、想像とは全く違った快適な生活を送っていた人たちもいるようです。その様子がこの「ブラディー・タワー」(いかにも血なまぐさい名前ですが・・・)で垣間見ることができます。
タワー・グリーン
ロンドン塔の囚人たちは、現在の地下鉄駅「タワー・ヒル(Tower Hill)」付近にあった処刑所で公開処刑されました。その数は数百人にものぼるそう。しかし、身分の高い囚人たちは見世物的になっている公開処刑からは免れることができ、ロンドン塔内のセント・ピーター・アド・ヴィンキュラ礼拝堂前のこの場所「タワー・グリーン」でひっそりと処刑されたといいます。ヘンリー八世の2番目の妻で「ブーリン家の姉妹」でもお馴染みのアン・ブーリンも、ここで処刑されました。タワー・グリーンの前には「クイーンズ・ハウス」がありますが、これは婚前ヘンリー八世が結婚するアンのために建てた家。皮肉にも処刑前の日々をアンはここで過ごしたそうです。
アン・ブーリンの「クイーンズ・ハウス」
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処刑場跡のメモリアル
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動物園
カラスでかっ!
ロンドン塔には実は動物園があったんです。13世紀頃に国王達が珍しい動物を贈りあうことが流行り、ライオン、白クマ、アフリカ象、オオカミ、ワシ、ハイエナ、フクロウ、ヒョウ、サルの軍団、オオカミなど多くの種類の動物が住んでいたんです。19世紀初期には動物の数も膨らんでロンドン塔では飼育不可能になり、現在リージェント公園にあるロンドン動物園へ移ってきました。ただ現在でも動物園の名残を見ることができます。それがかの有名なカラスたち。カラスが去るとロンドン塔も滅びるという伝説があり、「レイヴンマスター」という名の役職の飼育係が大きい7匹のカラスをとても大切に育てているんです。日本では害獣として嫌がられているカラスですが、ロンドン塔のカラスは世話が行き届いているせいか、羽を切られて飛べないのか、なんとなく上品な気もしてきます。
クラウン・ジュエル
噂の「アフリカの偉大な星Ⅰ」握りこぶしより大きいかも!
さて、ロンドン塔に来て決して見逃してはいけないものがあります。それは「クラウン・ジェル」。美しいなんて一言では語れないすごい宝石たちです。ここに展示されてあるものは全て本物で、王や女王の身につける金糸のマントや戴冠式などで実際に使われた職杖など、とにかくテレビや絵などでしか見たことのないようなまさに金銀財宝が展示されています。
一番の見ものは数々の冠。中でも偉大なアフリカの星(The Great Star of Africa)」は見逃すことができません。原石のカリナン(The Cullinan Diamond)は3106カラットもあり、そこから9つの偉大なアフリカの星ⅠからⅨが切り出されました。世界最大のその巨大ダイヤモンドが見られるのです。探せないときは近くにいるヨーマン・ウォーダーを呼び止め聞いてみてください。親切に案内してくれるはずです。
イヤホンガイド4ポンド(2010年10月現在)
ロンドン塔、いかがでしたか?見どころが多くて、しかも複雑な作りのロンドン塔を全て見るにはちょっと時間がかかるかも知れません。でも見る価値十分、大満足できる場所です。そしてご紹介できなかった素晴らしい部分もまだまだあるので新しい発見してみてください。いろいろ知りたいけど英語に自信のないかたも大丈夫、日本語のガイドブックはショップやチケットショップで売っています、有料ですが日本語イヤホンガイドもあります。
では、くれぐれも幽霊には気をつけて。以上、ちょっと見てみたい気もするロンドンナビでした。