スミスフィールド・マーケット

Smithfield Market

閉店・移転、情報の修正などの報告

歴史がいっぱいつまった肉市場。生鮮市場として始まり、一時は処刑所として使われていたことも。

こんにちは、ロンドンナビです。今日はスミスフィールド・マーケットをご紹介します。ある昼下がり近くを通り、この肉市場を発見したにもかかわらず、平日のみ営業、しかも早朝だけとあってなかなか行けずにいた場所。でも今までずっと思い続けていたのはこの場所、とっても興味深いから。もちろん市場としても充分魅力的なのに、歴史もぎゅーっと詰まってるんです!さっそくご紹介しましょう。

スミスフィールド・マーケットの歴史

では、その歴史をちょっとおさらい。古代、ロンドンのあたりにはローマ人によって作られた街「ロンディニウム」があり、テムズ川を中心に繁栄してきました。そして2世紀くらいから現在の「シティー」と呼ばれる地域には外敵から守るためのロンドン・ウォールが建てられました。この壁はその後も改良、増築を重ね、18世紀まで存在していましたが、やがて外敵の脅威もなくなり、徐々に重要性を失い、ついには第二次世界大戦の空爆により大半が崩壊してしまいました。今では「シティー」を歩いているとたまに壁の一部を見ることができるのみです。
でも地名からその名残りを垣間見ることができます。というのも「シティー」には”GATE=門”の付く地名が多いんです!Ludgate、Newgate,、Aldersgate、Cripplegate,、Bishopsgate、Aldgate 、Moorgate,などなど。これはすべてロンドン・ウォールの門があった場所。現在その付近で壁を見ることはできないけれど、地名にゲートがあったしるしが残っているんですね〜。
スミスフィールド・マーケットも当時、ロンドン・ウォールのすぐ外に位置していて、Smooth Fieldと呼ばれる水の豊富な緑生い茂る放牧地でした。ここでは生きた動物が売られ、中世までにはイギリスで最も有名な市場となっていたのです。この辺りに動物の名前の通りが多いのはそのせいといわれています。たとえばCowCross Street=牛が行き交う通りやCock Lane=おんどり横町などは、現在でも実際にある通りです。また、今では地図から消えてしまっている名前だとこんな感じ。"Chick Lane=にわとり道り“, "Duck Lane=カモ道り ", "Cow Lane=牛通り ", "Pheasant Court=キジひろば ", "Goose Alley=がちょう小道 "!活き活きとした光景が目に浮かび、動物たちのにぎやかな声と市場の喧噪が聞こえてきそうです 。
スミスフィールドは肉市場としてだけでなく、多くの人々の集まる場所となりました。人々が多く住む「シティー」からも壁をでればすぐの立地、そして広い空間。そんな環境のためここでは様々な催しが行われたんです。王が騎士たちの武術を競うトーナメントを開き、観戦を楽しむ貴婦人たちが着飾ったり光景はさぞかし華やかだったことでしょう。13世紀の初期からスミスフィールドは全く違った意味で注目を浴びるようになりました。そう、公開処刑所として。12世紀、ロンドン・ウォール内の壁付近に凶悪犯を収容する刑務所が建てられ、そこの囚人の処刑所としてスミスフィールドが使われるようになったんです。多くの囚人、そして映画「ブレイブハート」のスコットランドの愛国者ウィリアム・ウォレスもここで人生の最後を迎えました。
映画もテレビもインターネットもない当時、処刑は庶民の娯楽のひとつ、エンターテイメントだったんです。17世紀には大道芸人、アクロバットをする人、ジンジャー・ブレッドを売る人、スリやペテン師、見世物小屋、そして闘鶏など様々なビジネスと人々がこの場所に集まってきました。

現在のスミスフィールド・マーケット

ロンドンの中心でありビジネス街の「シティー」に位置するとは思えないこの肉マーケット。ロンドナーも存在は知っていながら実は行ったことがある人は多くはありません。それもそのはず、平日の早朝のみの営業だからなんです。マーケットの営業が始まる朝の3時過ぎはまだ人はまばらです。

マーケット内はとても清潔に保たれていて、肉が吊られていて解体するエリアは普通の人は入室禁止。無菌状況が保たれています。その上、販売する人がお金触れないようにどのお店でもキャッシャーは別にもうけられています。
お肉はトリ、ブタ、牛、ラムそしてラビットやゴートなどさまざま。 部位もいろいろあって、一般的にスーパーマーケットで買えるいわゆる「普通のお肉」から内臓系、ブタの顔、しっぽ、牛タンなんかも売られているんです!問題は量が多くてバラ売りしないということ。ちょっとやそっとのパーティーじゃ食べきれない〜!大勢でBBQなんかを開くときは最高です!普通に買うより断然お得で鮮度も抜群。
市場が閉まってしまうとこんな感じ。スミスフィールドの歴史が詳しく書かれた看板がいくつかあったり、戦争に参加したマーケットの人々の記念碑が飾られています。

市場の周辺では

楽しいのは市場だけではありません。肉マーケットの周辺のパブやレストランは市場開店に合わせ、特別なライセンスで早朝の開店が可能です。
だからマーケット周辺では朝からステーキが食べるれたりビールも飲めるんです!胃腸に自信のある人は是非挑戦してください。以上、ロンドンナビでした。
  • photo
  • photo
  • photo
  • photo
  • photo
  • photo
  • photo
  • photo
  • photo
  • photo
  • photo

記事登録日:2010-06-16

ページTOPへ▲

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

スポット登録日:2010-06-17