英国からオランダへ夜行フェリーで行ってみました。ロンドンからアムステルダムへは飛行機なら1時間ちょっとですが、列車と船を使ってのんびりと行くのもまた新たな体験になることでしょう。
間近で見る船はその大きさに驚かされる
こんにちは、ロンドンナビです。島国の英国からヨーロッパ大陸へ行くには、何らかの方法でドーバー海峡を渡らねばなりません。飛行機でひとっ飛び、または国際列車「ユーロスター」で海峡トンネルをフランスに行く方法が一般的です。ところが、現在もなお英国とフランス、ベルギー、オランダなどの間にはさまざまなフェリーが通っています。
今回、ナビが利用したのはイングランド西部のハーリッジ(Harwich)からオランダのフック(フークとも)・ファン・ホランド(Hoek van Holland)を結ぶステナライン(Stena Line)という会社の船。これまでのフェリー体験といえば、東京から伊豆大島に行くときに乗ったことしかないナビにとって、欧州の船旅はもちろん初めて。「揺れたり、うるさかったりしたらいやだなー」と心配な半面、「欧州の船には必ずカジノや免税店がある」と聞いたこともあり、どんな船に乗ることになるのか期待が高まります。
■ ロンドンから列車で港へ
これから同じ船に乗る若者たち
オランダへの船が出るハーリッジへは、ロンドン東部の国鉄リバプール・ストリート(Liverpool Street)駅から電車で2時間弱。午後8時過ぎ発の電車には近くの金融街・シティからの退勤客で席はいっぱい。リュックを背負って乗り込んだ「どこからみても旅人」のナビは周りの視線が気になります。
約15分で、工事中のロンドン五輪メインスタジアムの真横を通過。電車はその後、エセックス州(Essex)の丘陵地帯を北東へと進みます。
やがて、車内から退勤客の姿が消えると、列車にはフェリーに乗る旅行客だけが残されました。進行方向左側に海が見えてくると、いよいよハーリッジ港に到着です。
暮れていく風景の中に海が見えてきた
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列車を降りて、ターミナルへと向かう
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■ フェリーターミナルには巨大な船が
ハーリッジ客船ターミナルへの入口
荷物を担いでハーリッジ・インターナショナル(Harwich International)駅に降り立ったナビ。電車を見送って、客船ターミナルの方を見てびっくり。駅の建物とは比べ物にならないような船が、まるでビルのようにそそり立っているではありませんか。大きなトレーラーが次々と船内に飲み込まれていくのも目に入ります。「小さな船だったらどうしよう」という心配も杞憂に。ひょっとしたら「本格的な外国のクルーズの世界が楽しめるかも!」と夢は膨らみます。
巨大な船と相反し、客船ターミナルは簡素そのもの、トイレとコーヒーの自動販売機があるくらいで、売店やカフェも店じまいのあと。「さっさと船に乗りなさい」ということなのかもしれません。あとで聞いたら、出航時間は午後11時45分なのに、船には午後8時には乗船できるということでした。
電車の中から見たオランダ行きの船
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人がいなくてなんとも殺風景な客船ターミナル
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乗船券代わりのキーカードはこのチェックイン・カウンターでもらう
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ボーディング・ブリッジの案内表示
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■ チェックインをすませて、船内へ
船室のシャワールームはこんなかんじ
飛行機に乗る時のようにチェックイン・カウンターで搭乗券ならぬ「船室のキーカード」をもらい、いよいよ船へと向かいます。長いボーディング・ブリッジを歩いて、船内へ。
係員にキーカードを見せると「エレベータで11階へ」という返事が。船はなんと13階建てで、船室とレストランは9階から13階に作られています。
船室に入ってまたびっくり。個室2段ベッドの部屋にはシャワーとトイレが完備。ぴしっと糊の効いたシーツがベッドに置かれ、清潔感でいっぱい。ロンドン市内のベッド・アンド・ブレックファスト(B&B)よりも居住性は数倍高いと感じました。
キレイにベットメイクされた船室の2段ベッド
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コンパクトにまとまった使いやすい船室
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■ 船内施設をひと巡り
この人が船長?…免税店の前ですれちがった
9階にはレストランや売店がある、ということなので行ってみることにしました。
設備は船というよりも、大型高級ホテルのアーケードという雰囲気。大きなカフェテリアをはじめ、数カ所のバーに、本格的なコース料理をサーブするアラカルト・レストランなど、食事や飲み物を楽しむ施設には事欠きません。ニュース映像などを映し出す巨大プロジェクターがあるかと思えば、映画館もあって、「とても1泊の船旅では遊びきれない」とナビは早々に白旗を上げました。
また、免税店もそれなりの規模があり、欧州では高価なタバコがちょっと安い値段で売られています。
船内での買い物などは、英ポンドやユーロなら直接支払えますし、クレジットカードの利用もできます。両替カウンターもあるので、日本円や米ドルからユーロへの交換も可能です(レートはよくありませんが)。
なんと、船内にはワイヤレス・インターネット回線も完備。無料で衛星を介して地上とやりとりできるのが驚きでした。
カジノの横にあるバーカウンター
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コース料理を出すアラカルトレストラン
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軽食も食べられるバーのカウンター
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カフェテリアに並ぶさまざまな料理
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オランダ生まれのキャラクター”ミッフィー”も売られている免税店
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様々な設備があって船内で楽しむことができる
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■ いよいよ船はオランダへ
オランダの国土はとにかく平たい
船は朝7時45分に到着だというので、のんびり準備をしていたら、英国とオランダとの間に1時間の時差があることをすっかり忘れていたナビ。あわてて、荷物をまとめて下船するはめに。
降りる直前にカフェの窓越しにちょこっと眺めた「初めてのオランダ」の風景は、見事に平らで、国土の5分の1が干拓地という事実を目の当たりにしました。オランダと言えば4枚の羽根がついた風車が有名ですが、港の周りには現代的な風力発電用の風車があちこちに建てられているのが目をひきました。
後ろ髪引かれる思いで船をあとにしたナビは長い廊下を入国審査場へと進み、無事オランダへ入国。旅人たちが満載された郊外電車でアムステルダムへと向かいました。
他の乗客が下船してしまって、もう誰もいない船内
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1晩だけなのが悔しい、もっと乗っていたかった
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フック・ファン・ホランド駅は終着駅の風情がたっぷり
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列車の中から、今まで乗っていた船が見えた
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アムステルダムへ向かう2階建ての列車
「欧州大陸への移動にフェリー」なんていう選択はいままで想像もしていなかったナビ。飛行機やユーロスターと同じくらいの値段で移動でき、かつ宿泊費が1泊分浮きますから、旅のコスト全体からみたら十分検討に値する手段だと思いました。英国旅行の最後に華々しく欧州へ向かう足としてもおすすめですよ。以上、ロンドンナビでした。
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2010-07-19