まずくない英国料理を求めて

「まずい」と言われるロンドンの食事。でも、おいしいものに巡り合うチャンスはいっぱい!まずくないイギリス料理を探してみましょう。

メニューには意外とおいしいものが並ぶ?

メニューには意外とおいしいものが並ぶ?

こんにちは、ロンドンナビです。旅の楽しみの一つは、現地でおいしい食事をすること。その土地でしか味わえないおいしいものや珍しいもの。これを食べるためにやって来た、とそのことが旅をする目的や理由になることもあるくらい。しかし、残念なことにロンドンに関しては「食」に関する良いうわさはあまり聞けません。それどころか、「ロンドンは好きだけど、食べ物がね~」とか、「おいしいものってロンドンにはないよね」、「イギリス人って味がわからないのかな?」などなど…。しかし、最近になってちょっぴり、「いやいや、おいしいものもあるんだよ」、「ひどいって聞いていたけど、それほどでもないんじゃないかな…」といった声が聞こえてくるようになりました。今日は、「まずくない英国料理」を探すためのアイデアをいくつか紹介しましょう。

■どうして「割と」おいしくなったのか?

旧植民地グルメの代表格、インド料理

旧植民地グルメの代表格、インド料理

ロンドンで食べる料理に変化をもたらしたのはいくつかの理由があります。
1.欧州連合(EU)の東方拡大により、2000年頃から中東欧諸国の移民が急激に増えた。彼らがこれまで英国になかったおいしい料理を持ち込んだから。
2.海外旅行の庶民への普及で、外国でおいしいものを食べて来た人が増え、一般の人の間にも「それなりの味」が求められるようになってきた傾向が出てきたから。
3.インド料理や中華の一種で香港からやってきた広東料理など、旧植民地から持ち込まれた料理が一段とおいしくなったとも。
4.アジアンフードの流行のおかげで、中華料理をはじめ、日本や韓国、東南アジアのエスニックなど、食の幅が広がったから。
5.冷凍技術や流通の発達で、どこかのセントラルキッチンで作られたおいしい料理がパブチェーンなどで食べられるようになったから。
香港と大差ない味の本格飲茶はロンドングルメの一ジャンルとして定着しています。

香港と大差ない味の本格飲茶はロンドングルメの一ジャンルとして定着しています。

これが冷凍食品って、信じられますか?<br>(ナビがディナーセットを自宅のオーブンでつくりました)

これが冷凍食品って、信じられますか?
(ナビがディナーセットを自宅のオーブンでつくりました)

■目指すはパブのご飯

パブチェーン「ウェザースプーン」のハンバーガー

パブチェーン「ウェザースプーン」のハンバーガー

ここ数年で、決定的においしくなったのは大手パブチェーンのご飯です。「チェーン店だからどこで食べても同じでは?」という意見も聞こえ来そうですが、日本でファミレスや牛丼チェーンを利用する感覚からしたら、それほど違和感もないと思います。さらに、観光スポットに隣接するようなパブなら、ツーリストへと対応も慣れているようです。
代表的なメニューをいくつかあげておきましょう。

■フィッシュ&チップス

英国の名物グルメの筆頭「フィッシュ&チップス」

英国の名物グルメの筆頭「フィッシュ&チップス」

フィッシュ&チップスは白身魚のフライとジャガイモを揚げたもの。本来は新聞紙で作った袋に入ったものを手や口をべたべたにしながら、テイクアウトで食べるファーストフードなのですが、パブご飯の代表的メニューにもなっています。もし、チャンスがあればフィッシュ&チップスを売り物にしている専門店で食べてみるといいでしょう。好きな魚の種類が選べるようなお店では、きちんとジャガイモも冷凍物でなく生から調理していますし、添えてあるディップにも気を使っています。モルトビネガーをたっぷりかける食べ方も試してみてはどうでしょう?こういうお店のフィッシュ&チップスは少し高いかもしれませんが、名物をぜひ、おいしく食べてください。
フィッシュ&チップスを売り物にするパブも<br>(サザーク地区のジ・アンカーにて)

フィッシュ&チップスを売り物にするパブも
(サザーク地区のジ・アンカーにて)

パブにはさまざまな調味料が用意してあります

パブにはさまざまな調味料が用意してあります

■サンデーロースト

パブで出てくる典型的なサンデーローストの例です

パブで出てくる典型的なサンデーローストの例です

かつて週6日間働いた農民に領主が日曜日にはごちそうをふるまったことが始まり、と言われていますが、近年になってからは日曜礼拝の後、家族がそろっていつもよりぜいたくな暖かい食事を、会話を楽しみながらゆっくりいただく、そんな英国の習慣から生まれたといいます。礼拝のほうはともかく、お休みの日にお喋りをしながらゆっくり食事をとることは今でもイギリス人が大好きなことのひとつです。典型的なものとして、ロースト・ビーフ、人参、ブロッコリー、グリンピースなどの茹で野菜、ポテト、ヨークシャープティング(表面はカリっとしていて、中 はもちもち、甘くないシュー生地のようなもの)それにグレイビーソースをかけたひと皿があります。「英国=ロースト・ビーフ」と思われがちですが、ローストされたお肉はチキンだったり、ラムだったり、それにもちろんポークもあります。グレイビーソースは肉汁に味付けしたソースです。ビーフにだけでなく、野菜やプティングにもたっぷりかけて食べてみましょう。
そのほかのパブご飯の例<br>「ソーセージ&マッシュ」

そのほかのパブご飯の例
「ソーセージ&マッシュ」

「ローストビーフ」のみのディナー

「ローストビーフ」のみのディナー

■ジャックポテト

某カフェで食べたジャックポテト<br>意外と量が多く、なんと完食できず!

某カフェで食べたジャックポテト
意外と量が多く、なんと完食できず!

英国で日本の「お米のご飯」にあたる主食はなんだろう?と考えると、それはパンよりもむしろ「じゃがいも」です。揚げたチップス、焼いたベークドポテトなどはパブメニューのラインナップですし、新ジャガ(ニューポテト)はチャイブ(ネギの仲間のハーブ)を散らしたでだけでおいしいポテトサラダになります。こちらではクリスプと呼ばれるポテトチップスは立派なお昼ご飯、人によっては夕食がビールプラスクリスプだけ、ということさえもあります。ジャックポテトは皮のついたままオーブンで焼いたジャガイモの丸焼きにチーズやサワークリーム、ベイクド・ビーンズ(白インゲン豆のトマトソース煮)をトッピングしたものです。ポテトの皮がジャケットのように見えることからついた「ジャケットポテト」が正しい名前、かもしれません。イギリスのジャガイモは大変おいしいです。そしてこのジャックポテトのジャガイモはとても大きいです。え~「ポテト1個がランチ?」とかと思わないで、試してみてください。きっと大満足のごはんになるはずです。

■そのほかの英国の代表的な料理

シェパーズパイ(Shepherd's pie)

シェパーズパイ(Shepherd's pie)

英国では、マッシュポテトを主食にした料理としたパイがあります。「パイ&マッシュ」という看板を掲げ、店の名物料理にしているところもみかけます。
一般的なのは「シェパード・パイ」と言われる羊の肉が入ったもの。良質なラムを使っていたらけっこうイケルのですが、たいていはマトンが使われています。羊肉に慣れていない日本人の口には少々???かもしれません。
フィッシュ・ケーキ(Fish Cake)

フィッシュ・ケーキ(Fish Cake)

また、フィッシュアンドチップスとは別に、魚のフライをメインにした料理もあります。これは、ほぐした魚肉とつなぎにポテトを入れて、コロッケ状に丸くして揚げた「フィッシュ・ケーキ」というものです。これも英国の家庭でよく食べられています。

■パブのスナックメニュー

ブールのお供にこんなメニューも
<br>これはサラダ

ブールのお供にこんなメニューも
これはサラダ

ジャックポテトのチーズがけ

ジャックポテトのチーズがけ

「ちょっとしたおつまみは食べたいんだけど、メインの料理では量が多すぎるし…」と思った時は、メニューの「サイドメニュー Side Menu」と書かれた場所のラインナップをチェックしてみましょう。「Chips(いわゆるフレンチフライ)」や「Side Salad(小皿のサラダ)」、「Onion Ring(オニオンリングのフライ)」などが見つかるはずです。これらはだいたい1皿1~3ポンドで食べられます。ただ、あまりメニューにチョイ スがないのが難点ですが。

■カフェの「スープ&ブレッド」

カフェチェーン「EAT.」のスープ&ブレッド

カフェチェーン「EAT.」のスープ&ブレッド

国鉄駅の構内やショッピングモールの一角にあるカフェでは、サンドイッチのほかに、「スープ&ブレッド」というメニューがあります。これは、お店独自に「今日のおすすめスープ」を2種類ほど用意。それに主食となるパンを一切れつけてセットランチにするというものです。日本人の感覚ではやはり「これでランチ」と思うかもしれませんが、スープの量は思ったより多く、もしも大きめの「ラージサイズ」を頼んだらとても食べきれないかもしれません。

■ナビが食べた「まずかった?」もの

うなぎのシチューは小骨が多くて……

うなぎのシチューは小骨が多くて……

ちなみにロンドンには、いまもってまずかったり、食べるのがつらかったりするものもあります。まずいものの筆頭は、フライドポテトの2度揚げしたもの(ひょっとしたら、油がわるかったのかもしれませんが)。ただ、ポテトを揚げただけなのにどうしてこんなにまずいの?と思うシロモノ。運が悪かったとしかいえませんが。
そのほか、極端に安い値段で売られているフライドチキンやフィッシュのフライは、いつ作られたか品質が保証できないような冷凍食品を揚げている可能性がありますから、注意が必要です。
さらに、食べるのがつらかったのは「うなぎのシチュー」。これはまずかったというより「食べにくかった」ものの代表かもしれません。ぶつ切りにされたうなぎは小骨だらけで、食べるための面倒は予想以上のものがあります。

「ロンドンの食べ物は期待薄」なんて思わないで、ぜひあれこれ試してみてください。きっと意外なおいしいものが見つかりますよ。以上、ロンドンナビでした。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2011-01-28

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