ロンドン発の格安航空に乗ってみよう

「安すぎて怖い」という不安はこれで解消!片道数千円で乗れる格安航空のフライトで欧州各地を目指そう。

飛行機の乗り降りは徒歩で行うのが格安航空の特徴

飛行機の乗り降りは徒歩で行うのが格安航空の特徴

欧州には片道数千円から1万円程度で利用できる格安航空の便がたくさん飛んでいます。しかし、「あまりに安すぎる」とか、「安全上の不安」などを理由に「自分が乗るのはちょっと……」と二の足を踏んでしまう人の声も聞きます。せっかく安く飛べるのに使わないのは「もったいない」・・・ということで、格安航空利用時のポイントをまとめてみました。
スタンステッド空港の手続きカウンター

スタンステッド空港の手続きカウンター

イージージェットの手続きカウンター

イージージェットの手続きカウンター

ライアンエアーは、搭乗前にパスポートチェックを求める

ライアンエアーは、搭乗前にパスポートチェックを求める

■ なぜ、チケットが安いのか?
格安航空会社が安く飛行機を飛ばせるのはいくつかの理由があります。

1) 主要都市のメイン空港を避け、大都市の近くにある中小空港を使う:
着陸料が安い空港への乗り入れにより、運賃を下げることができます。

2) ボーディング・ブリッジやバスを使わず、乗客は歩いてタラップを登る:
空港の施設をできるだけ使わないことで、コストが削減できます。

3) 預かり手荷物の無料枠をなくし、預けたい人からのみお金を取る:
既存航空会社のチケットには20kgまで(エコノミーの場合)の無料手荷物運搬代が含まれていますが、これを省くことで全体の価格を下げています。

4) 機内でサービスする飲食物をすべて有料にする:
機内食分のコストが節減できるほか、有料で販売すればその分増収につながります。
ライアンエアーの機内誌は希望者のみに配布される

ライアンエアーの機内誌は希望者のみに配布される

5) チケットは基本的に自社サイトからしか買えないようになっている:
代理店を通じての販売がないため、販売手数料を運賃に含める必要が無くなります。

6) 機内に載せる旅客サービスに関する物品、設備を廃止する:

機内エンターテインメントなどは一切ありませんし、新聞や雑誌、毛布の備え付けもありません。一時、機内のトイレ使用料を徴収する動きも一部で起こりましたが、これまでに実施は見送られています。

7) 機内座席はすべて自由席とする:

席番を決める手間を省くことで、コストへ減らせる一方、良い席に座りたい人のために「追加料金による優先搭乗制度」を取り入れている例があります。
そのほか飛行機そのものにもさまざまな仕掛けがしてあります。

1) シートの掃除がしやすいように、革張りにしてある。
2) エコノミークラスのみにする。
3) 保守点検の簡素化を目指し、保有機体を1種類に揃える。

■ 格安航空が発着するロンドンの空港
ロンドンの国際空港は、日本などからの直行便が発着するヒースロー(Heathrow)空港が有名ですが、格安便の乗り入れは他の3空港、ガトウィック(Gatwick)、スタンステッド(Stansted)、ルートン(Luton)で行われています。いずれもロンドン中心部から30〜40km離れていますが、バスや鉄道などの交通インフラが発達しており、それほど不便は感じないことでしょう。
ロンドン市内〜空港の格安バスもある

ロンドン市内〜空港の格安バスもある

空港へのバス会社も積極的に格安バス運賃をPR!

空港へのバス会社も積極的に格安バス運賃をPR!

路線ネットワークが大きく張り出されていることも(グラスゴーにて)

路線ネットワークが大きく張り出されていることも(グラスゴーにて)

■ 格安航空会社の例
欧州では元は国営だったような大手航空会社でさえも子会社に格安航空部門を持っている例もあります。しかし、一般的に良く利用されているのはアイルランドが本社のライアンエアー(Ryan Air)と、ロンドン郊外のルートン空港に本社があるイージージェット(Easyjet)の2社。いずれもロンドンから英国内をはじめ、欧州大陸の各地にネットワークを広げています。
実際に「3ポンド」で航空券を買ったときのデータ

実際に「3ポンド」で航空券を買ったときのデータ

■ 気になる料金は?
チケットの価格は利用する日やフライトの時間帯、予約のタイミングなどで微妙に変わります。ライアンエアーの場合、「向こう3日間の期間限定で翌々月のチケットを特売」といったような売り方をしていますが、席が残っていれば直前でも安く買える時もあり、一概に「いつごろ買うと最低料金でチケットが入手できる」といったようなルールや決まりはありません。
だいたい標準的な料金は、税金込み1区間(片道)で、平日なら25〜45ポンド、週末や連休なら60〜120ポンドが目安です。
ちなみに2010年の上半期(1〜6月)にもっとも安く売り出されたチケットは、ライアンエアーの超特売料金「指定区間に限り、片道1枚3ポンド(税金などすべて込み)」というものでした。
■ 追加でかかる費用には要注意!
格安航空のチケットを買うときには(一見不合理とも思える)さまざまな費用が加算されます。目下、ライアンエアーもイージージェットもともに、日本発行のクレジットカードなどで決算した場合、1枚につき5ポンド程度の手数料が取られます。また、ライアンエアーは「オンラインチェックイン手数料」という不思議な費用を徴収しており、これも1人1区間につき5ポンドとなっています(ときどき、「特別サービス」で取られないことも)。また、税金もプロモーションによってはNo Tax(税金不要)になることも。

さらに頭が痛いのは、「預かり手荷物」にかかる追加料金について。あらかじめスーツケースや大きなリュックサックなどを預けることが決まっているなら、チケット購入時(または、オンラインチェック時)に、「Check-in Baggage」の追加料金を支払っておきましょう。当日のチェックイン時に荷物代を支払うと、事前申し込み料金より高くチャージされます。
格安航空利用の際は、事前に搭乗券をプリントしよう

格安航空利用の際は、事前に搭乗券をプリントしよう

■ 搭乗券は事前にプリンターで刷る
格安フライトを利用する時はあらかじめ、ネット上でチェックインを済ませておきましょう。ライアンエアーは搭乗当日に空港でチェックイン手続きをしようとすると、さらに追加料金がかかってきます。
オンラインでのチェックインは、自分の名前と便名、出発時間などを確認して、パスポート番号を入れれば完了。プリンターで搭乗券にあたるページを刷って、当日持参しましょう。プリントの大きさやカラー、白黒かは特に問われません。また、EU国民以外(日本人を含む)が搭乗する場合、事前に出発ロビーにある専用カウンターでのパスポートチェックを求められることがあります。
なお、荷物を預ける人は搭乗する航空会社のカウンターで手続きを行います。
搭乗ゲート番号の確認は出発エリア内のモニターで

搭乗ゲート番号の確認は出発エリア内のモニターで

■ ゲート番号は直前までわからない
従来の航空会社の便に乗る時は、よほどのことがない限り搭乗券に「出発ゲート」が書かれています。ところが、格安航空の場合、「空いている駐機スポットに適宜入る」というスキームで運用されているため、搭乗時刻直前までゲート番号が決まりません。ですから利用客はみなセキュリティチェックを済ませた後、出発エリアでボードを眺めながら「いつになったらゲート番号が出るか」とそわそわしながら待ちます。
しかも格安便は「座席は自由席」なので、ひとたび番号が決まると少しでも早く乗ろうとゲートまで駆け足で向かう人もたくさんいます。
飛行機に乗る前に食事や飲み物を買い込もう

飛行機に乗る前に食事や飲み物を買い込もう

なお、ゲートに行く前のひとときに、免税店のあるエリアで適宜飲食物を買っておく良いでしょう。機内では食事も飲み物も有料です。ちなみにペットボトルの飲料は安全上の理由でセキュリティチェックの手前でいちど放棄させられます。
ゲートでは、優先搭乗者用の列が作られている

ゲートでは、優先搭乗者用の列が作られている

ほとんどの乗客が大きめの荷物を機内へと持ち込む

ほとんどの乗客が大きめの荷物を機内へと持ち込む

保安要員が「搭乗券のもぎり」を行うことも

保安要員が「搭乗券のもぎり」を行うことも

■ いよいよ搭乗、飛行機へは徒歩で
コストの関係でボーディング・ブリッジを使わない格安航空。搭乗客は建物から歩いて飛行機へと向かいます。あらかじめ優先搭乗(Priority Boarding)の追加料金を払った人は、別の通路から先に乗せてもらえます。
機内では自由席とあって、空いている席を探すのは一苦労。でも立ち席ということはあり得ないので、どこかの席に座らせてもらいましょう。
荷物代の追加料金を避けるため、ほとんどの乗客はキャリーバックや大きめの鞄を機内に持ち込んでいます。頭上の棚がいっぱいになってしまうこともあるので、やはり少しでも早めに乗り込みましょう。
「安全のしおり」は前方シートの上の方に貼付けてある

「安全のしおり」は前方シートの上の方に貼付けてある

頭上の棚の扉には、広告が貼られていることも

頭上の棚の扉には、広告が貼られていることも

■ リクライニングさえついていない座席
「拭けばきれいになるから」と座席は革張り。カバーもついていません。しかも新型の飛行機であればあるほど、座席にはリクライニングの装置もなし。「安全のしおり」も機体によっては前の座席に貼付けてられているなど、ありとあらゆるところにコスト削減の仕掛けが満載です。電車の吊り広告のように頭上の棚に広告が貼られた機体まであるといいうから、まさに「格安航空、おそるべし」といったところでしょうか。
格安航空は制服も簡素(イージージェット)

格安航空は制服も簡素(イージージェット)

機内誌の後半にはスナックや飲料のメニューを掲載

機内誌の後半にはスナックや飲料のメニューを掲載

コーヒーを売る客室乗務員(イージージェット)

コーヒーを売る客室乗務員(イージージェット)

■ 簡素な制服を着た乗務員がコーヒーを販売
客室乗務員の制服がいかにも「簡単」なのも新鮮な驚きです。大手航空会社が競ってトップデザイナーによるユニフォームを準備するのとは雲泥の差です。
飛行機が巡航高度に達すると、乗務員がスナックや飲み物を売りに来ます。水さえもペットボトル入りのものを買うしかありません。
格安航空の機体は空港の端の方に駐機することが多い

格安航空の機体は空港の端の方に駐機することが多い

■ 目的地の空港についたら
格安航空のフライトはだいたい「街から遠く離れた空港」に到着します。意外なことに到着便にあわせてバスが運行されているので、時間はかかるものの著しい不便はありません。ただ「飛行機のチケット代より空港から街まで出る交通費の方が高い」こともしばしば。最終目的地までの交通の便をよく確認してから航空券を予約することをお勧めします。
関連タグ:格安航空格安航空券

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2010-07-31

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