地下鉄&近郊電車で旅をしよう!~DLR編~

ロンドンの2大金融街や五輪主要会場を結ぶDLR。沿線には2つの世界遺産もありますよ!

こんにちは、ロンドンナビです。今日は、ロンドンの2大金融街やオリンピックの主要会場を結ぶ無人列車「ドックランド・ライト・レイルウェイ(DLR)」の沿線をご紹介します。市内の中心地からやや離れたところを走っているDLRは、これまで観光客には見逃されがちでした。でも、2つの世界遺産(ロンドン塔とグリニッジ)、そして市内とオリンピックのメイン会場を結ぶ足として現在、意外と重要な役割を担っています。
これが全線の路線図です

これが全線の路線図です

無人運転なので、先頭にも乗れますよ

無人運転なので、先頭にも乗れますよ

市内中心地からの起点は2カ所

DLRの中心地側の出発駅は「バンク(Bank)」駅と「タワー・ゲートウェイ(Tower Gateway)」駅の2カ所です。バンクはいうまでもなく金融街シティーの最寄り駅。DLRの乗り場はノーザン線のホームからさらに地下へと下る「(まるで)地の底」のような場所から出発です。
バンクから出発の際は、ぜひ先頭に乗ってみてください。長いトンネルを一気に高架まで駆け上がるのを見るのはなかなかスリリングですよ。
バンク駅に下って行くトンネルです

バンク駅に下って行くトンネルです

一方、もう一つの起点、タワー・ゲートウェイはロンドン塔やタワー・ブリッジに近く、地下鉄「タワー・ヒル(Tower Hill・ディストリクト、サークル線)」駅に隣接しています。また、ナショナル・レールの「フェンチャーチ・ストリート(Fenchurch Street)」からも至近距離です。

2つの駅を出た列車は、1つ目の駅「シャドウェル(Shadwell)」で合流します。
タワー・ゲートウェイ駅

タワー・ゲートウェイ駅

こんな看板もついています

こんな看板もついています

シャドウェル駅で2方向に分かれます

シャドウェル駅で2方向に分かれます

チケット販売機の例

チケット販売機の例

走る路線は100年以上前に作られた?

シャドウェル駅からライムハウス駅、そしてウェストフェリー駅までの区間は、一見新しそうに見えますが、実はその昔、貨物鉄道が走っていた高架線を使っています。建てられてからすでに100年以上を経過。車窓からときどき運河が見えますが、これは鉄道が発明される前に物流ルートとして使われていたものです。
ナビのおすすめの景色は、ライムハウス駅を発車してすぐ、右側に広がる風景です。たくさんのナローボートが止まるアリーナの向こうに、新金融街・カナリーワーフのビル群が望めます。
車窓から見たライムハウスベイスン

車窓から見たライムハウスベイスン

カナリーワーフのビル群が見えてきました

カナリーワーフのビル群が見えてきました

路線は2つに分かれます

中心地から東へと向かってくると、路線はウェストフェリー駅の先で、2つに分かれます。
ひとつは、カナリーワーフを経由して、ドックランドを南下、テムズ川を渡って、グリニッジに向かう「ルイシャム Lewisham」行き。もう一つは、ウェストフェリーから東に進むルートです。
ただ、ややこしいことに、東に向かう列車は、バンク発がロンドン・シティー空港経由「ウーリッジ・アーセナル(Woolwich Arsenal)」行き、タワー・ゲートウェイ発が国際展示場のエクセル経由「べクトン(Beckton)」行きとなっています。ただ、どちらの列車も、途中の「カンニングタウン(Canning Town)」までは同じ路線をたどります。

まずは、ルイシャム方向に向かいましょう。

新金融街・カナリーワーフを歩こう

いかにも現代的な高層ビルが立ち並ぶ「カナリーワーフ(Canary Wharf)」。ロンドンの他の地域とはちょっと雰囲気が異なりますね。ビルの周りは、広場や公園になっているのもこのエリアの特徴といえます。もともとこのエリアは、世界各国からの船が出入りする貿易港でした。「ドックランド(Dockland)」と呼ばれるのはそのためです。このエリアの様子を知るには、まず「ドックランド博物館(Museum of London Museum)」を訪れてみましょう。
高架線をDLRが走っています

高架線をDLRが走っています

並んでいる左端の建物が博物館です

並んでいる左端の建物が博物館です

ドックランドの南の方は?

高層ビル群からやや南に外れると、DLRはマンション群を抜けて、やがて沿線には緑が見えてきます。このあたりの見どころは、「マチュート(Mudchute)」駅の東側に広がる、欧州最大の都市内農園「マチュート・パーク・アンド・ファーム(Mudchute Park and Farm)」でしょう。ビルをバックに、羊がのんびりと草を食む光景は「異様」です…。
さらに南にひと駅進むと、テムズ川の北岸からグリニッジが一望できる「アイランドガーデン(Island Garden)」駅。駅と川岸とは300メートルほど離れています。なお、アイランドガーデンから対岸へはDLRでひと駅ですが、歩行者用の川底トンネルをくぐって行くこともできますよ。
マチュート・ファーム

マチュート・ファーム

アイランドガーデンからの眺め

アイランドガーデンからの眺め

この川底にはトンネルが通っています

この川底にはトンネルが通っています

トンネルの入口です

トンネルの入口です

世界遺産のグリニッジへ

カティサーク駅前はマラソンのコースになります

カティサーク駅前はマラソンのコースになります

テムズ川をくぐって、いよいよ世界遺産となっている「グリニッジ(Greenwich)」に到達します。世界の時間の基準となっている標準子午線が通る「王立天文台(Royal Observatory)」や、「海事博物館(Maritime Museum)」などへは、「カティサーク(Cutty Sark)」駅下車をおすすめします。なお、グリニッジ周辺の主だった建物とマーケットなどをめぐるのには、最低半日は必要です。
天文台への入場は無料!

天文台への入場は無料!

これが標準子午線の看板です

これが標準子午線の看板です

海事博物館の入場も無料!

海事博物館の入場も無料!

グリニッジ・マーケットです

グリニッジ・マーケットです

終点・ルイシャムまで足を延ばすと…

「せっかくここまで来たなら終点・ルイシャムまで行こう!」という人は、「ルイシャム・マーケット(Lewisham Market)」をのぞいてみてはどうでしょう。新鮮な野菜や果物が並ぶ屋台がずらり。中心街にいてはなかなかおめにかかれない「生活感でいっぱい」の雰囲気が味わえます。
ちなみにルイシャムから市内中心地へは、ナショナル・レールの電車でチャリングクロス駅などにまっすぐ戻れます。

ウェストフェリーから東に行くと…

ポプラー駅から見たカナリーワーフのビル群

ポプラー駅から見たカナリーワーフのビル群

ウェストフェリー駅からカナリーワーフ方向へ南下せず、そのまま東に向かってみましょう。
次の駅のポプラー(Poplar)駅で、北に向かう「ストラットフォード(Stratford)行き」に乗り換えることができます。この路線にはさしたる観光スポットはないのですが、終点のひとつ手前「プディングミルレーン(Pudding Mill Lane)」駅のホームからは、五輪のメインスタジアムが目の前に望めます。もし、時間があればオリンピックパークの展望台にもなっているカフェ「ビューチューブ View Tube」に立ち寄ってみましょう。
北側の終点、ストラットフォード駅です

北側の終点、ストラットフォード駅です

ビューチューブから見たオリンピックスタジアムです

ビューチューブから見たオリンピックスタジアムです

イーストインディア駅

イーストインディア駅

さて、話を戻してポプラーから東へと向かいましょう。
ひとつ目の「ブラックウォール(Blackwall)」駅の南側には、「ビリングスゲート・マーケットBillingsgate Market」」というロンドン最大の魚市場があります、ただ、営業時間が夜明けから早朝までなので、観光客が行くにはややたいへんかもしれません。
次の駅の名はイーストインディア(East India)。この名の由来は、この場所に世界史の教科書にも出てくる東インド会社の貿易埠頭があったことによります。周辺には、当時の名残を残すスポットがいくつかあります。
イーストインディアを出て次のカンニングタウンまでは、人家のないエリアを走ります。このあたりは、ロンドンの北郊外から流れてくる「リー川」がテムズ川に流れ込むあたり。河口はS字型に大きく蛇行しています。秋から冬にかけては、渡り鳥の姿も見かけますよ。
テムズ川越しに「O2ドーム」が見えます

テムズ川越しに「O2ドーム」が見えます

大きく湾曲している「リー川」の流れ

大きく湾曲している「リー川」の流れ

五輪開催時にはきっと大にぎわいに

ロンドン・シティ空港です

ロンドン・シティ空港です

中心地から東へ向かってきたDLRは、カンニングタウンでまた2方向に分かれます。この駅では地下鉄ジュビリー(Jubilee)線と接続しています。さらに、ここから五輪メイン会場の「オリンピックパーク Olympic Park」のすぐ横にある「ストラットフォード・インターナショナル Stratford International」駅への新線が2011年夏の営業開始を予定してます。
ウーリッジアーセナル駅

ウーリッジアーセナル駅

ですから、五輪開催中は、メイン会場方面への人々や、卓球や柔道が行われる国際展示場「エクセル Excel」や、射撃が行われる「ウーリッジアーセナル」などへ乗り換える人々で大賑わいになることでしょう。
なお、カンニングタウンからウーリッジ方面に3駅進むと、ロンドンの5つある空港で最も中心地に近い「ロンドン・シティ空港 London City Airport」に着きます。
先頭車両からの眺めは意外と楽しいですよ

先頭車両からの眺めは意外と楽しいですよ

トンネル突入時がスリリング!

トンネル突入時がスリリング!

DLRでのミニトリップを楽しんでみてくださいね!

DLRでのミニトリップを楽しんでみてくださいね!


DLRのユニークなところは、「無人運転+車両が小ぶり」なので、先頭から前方が望めることです。地下鉄と違って、ほとんどが地上区間とあって、変化に富んだ風景を楽しむことができます。是非、DLR沿線の観光を楽しんでくださいね。以上、ロンドンナビでした。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2011-07-01

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