テムズ川フェリーを「屋形船」に見立てて、夜の観光をしてみました。
高速船「テムズクリッパー」
こんにちは、ロンドンナビです。
きょうは、ロンドンでの夏の楽しみ方についてプランをご紹介しましょう。
夏のレジャーといえば何を思い浮かべますか? 花火に潮干狩り、海水浴……日本ならこんなに楽しみ方がありますが、ロンドンではいずれも実現不可能なことばかり。
そこでナビが思いついたのは、「テムズ川フェリー」を屋形船に見たてよう!というプランです。
川岸に立ち並ぶ建物から想像するに、隅田川の舟遊びと遜色ないだろう、と考えたナビ。早速、船着場へと走りました。
せっかくなら夕暮れ時に!
だんだんと日が暮れて行きます
日が想像以上に長いロンドンの夏。6月の夏至近くには22時近くまで明るいです。そんなわけで夜景見物を楽しむにはかなり遅くまで待たねばなりません。そんなことをつらつら考えながら、ナビは夜20時にエンバンクメント埠頭を出る通勤用の高速フェリー「テムズクリッパー」に乗り込みました。
エンバンクメントから下流のグリニッジまでは約50分。通勤用の船なので、飛行機の座席のようなしっかりとした椅子のついた船室もあるのですが、船尾には簡単なベンチのような椅子があり、ここに座って風景を楽しむことができます。
パブがわりに使うという手も?
みなさん、飲んでます!
「屋形船」に見たてる以上、お酒や食べ物が要りますね。
実は、ロンドンの公共交通機関ではお酒を飲むことが禁止されているのですが、この船にはカフェ兼バーカウンターがあって、船内でワインやビールが売られています。ですから、船内で買って飲んでも良いですし、乗船前に何か買い込んで乗るという方法もあります。
ナビのオススメ買い出しスポットは、エンバンクメント埠頭に近いチャリングクロス駅の売店。充実したスーパー(M&S シンプリーフード)をはじめ、各種サンドイッチ屋さんがあります。また、どうしても「日本式にやりたい」という人は、チャリングクロス駅からエンバンクメント駅に向かう途中に「Wasabi(わさび)」という日本風テイクアウト店があります。
ロンドンアイの真下まで行きます!
アイの真下からの眺め
船は下流に向かうのですが、ダイヤの関係なのか上流のロンドンアイに必ず立ち寄ってからグリニッジ方面に向かいます。
上流に立ち寄る、ということは、ビッグベンも船上から一望できるのです。エンバンクメントからはビッグベンはほとんど見えませんから、上流に向かってくれるのは観光目的の乗船客にはうれしい限りですね。
地図持参で乗りましょう
途中で通勤客の乗り降りも
船尾に乗っていると、両岸のさまざまな建物が予期せぬタイミングで現れます。けっこうロンドンに長く住んでいても「地下鉄ばかり乗っているから、川からどんな風景が見えるのかよく知らない」という人も少なくありません。
この高速船、ややもすると「川岸を走る車より速いのでは」というスピードでグイグイ下って行きます。
ナビももうちょっとでセントポール大聖堂を見落とすところでした。
ベストビューはタワーブリッジ
おっと、これがタワーブリッジの真下
この船の最大の特典といえば、タワーブリッジを真下から眺められることでしょう。川岸から見る絵とは全く違い、船からの見る橋は圧倒的な大迫力。カメラのフレームに入り切らないすごさに感動です。
ここを過ぎると、両岸の景色は一気に変貌。ビルが立ち並ぶロンドン中心街の様子とは打って変わって、昔の貿易に使われた倉庫の建物が並んでいるようすが目に入ってきます。これらの建物は住宅へと改装されていて、船からも住宅に灯る明かりが見えることでしょう。
カナリーワーフのビル群は夜景に?
カナリーワーフ埠頭から出発です
タワーブリッジを過ぎると船は全速力で川を下ります。あまりの速度に、船尾に乗っているのがいほど。
そうこうしているうちに、船はカナリーワーフの埠頭に滑り込みます。ここから、下流にある住まいに向かって船で帰るビジネスマンの姿も。船で帰るというフレーズが何とも優雅な気がしませんか?
船からも見るビル群の夜景はなかなか見事。もうちょっと早い時間だと、夕日に照らされたビルが金色に光るそうですが、今日は残念ながらそんな風には見えませんでした。
グリニッジまでもう少し
高層ビル群からどんどん離れます
カナリーワーフを過ぎるとグリニッジまではあとわずかです。途中、両岸にある埠頭で通勤客を降ろします。川沿いに住める人たちはいいなあと、うらやましがってばかりのナビ。もっとも川沿いにいると買い物に行くのが不便、という話も聞きますが。
さて、船はグリニッジに近づきました。おっと、帆船・カティサークにも灯りがついているではありませんか。光があふれる夜景という雰囲気とはちょっと違いますが、世界遺産になっている白い建築物がぼんやりと浮かび上がって見える様子はここならではの美しさと言えましょう。
どこまで行くかでひと悩み
カナリーワーフのビルと夕焼け
ナビが乗った晩にも、何組かの観光客が船尾に乗って川岸の風景を楽しんでいました。皆が心配していたのは「街にどうやって帰るか」という問題です。
時刻表によると、カティサーク前の埠頭で降りずに、次のO2埠頭で折り返しても船を使ってエンバンクメントまで戻れます。でも、ナビは街に船で帰るなら、カティサークで降りて、グリニッジを少し散策することをお勧めします。
20分程度とわずかな時間ですが、再建なった帆船が眺められますし、街の雰囲気からかつて世界の海に君臨した大英帝国の栄華がそれとなく感じられることでしょう。
もし、もうちょっとグリニッジにいたければ、船に乗らずに、新交通システムのDLRを使って街に帰ることもできます。
本格的な夜景を見たいなら
暗くなってからの夜景を見て見たい、という人はやはり帰りも船に乗ることをオススメします。見事にライトアップされたタワーブリッジやセントポール大聖堂の夜景はきっと旅の思い出となるでしょう。テムズ川にかかる橋の多くもライトアップされていますよ。
O2ドームに到着!
いよいよ下船です!
カティサークから今晩のナビの終点、ザ・O2(O2ドーム)埠頭に船が到着しました。19,000人が収容できる巨大な建物は船からもその威容が見ることができます。イベントがある日はこの船や埠頭は人であふれるそうですが、きょう下船したのはナビを含めて2人のみ。
一つ見逃してはならないものがあります。カティサークからO2に向かう途中の上空に、緑色のレーザー光線が右から左へと流れています。これは、グリニッジ天文台から発射されている標準子午線、つまり世界の中心を示す経度0度を示すもの。ここを通り過ぎると船は「日本のある東半球」に入ったことになるんです!
船を降りたナビは、船で街に戻ろうかとも思ったのですが、帰りは最寄りの地下鉄ジュビリー線のノースグリニッジ(Greenwich)から電車に乗りました。
煙突の上当たりに緑の光が見えますか?
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ただいま、ロープウェイを建設中
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船はさらに下流へと下って行きました
高速船を屋形船に見たてた、夏の夜のロンドン観光プラン。観光船より圧倒的に安いうえ、予約なしに思いたったらすぐ乗れる気楽さが魅力です。
ぜひ、ロンドン滞在中に一度試してみてはどうでしょうか?
以上、ロンドンナビでした。
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2012-06-13