ロンドンで医療機関にかかるには

もしもロンドンで具合が悪くなったら? 医療機関や薬局の利用法も知っておきましょう。

救急車のお世話になど絶対なりたくないですが…

救急車のお世話になど絶対なりたくないですが…

慣れない海外での旅。英国滞在中に運悪く、体調を崩したり事故に遭ったりする可能性はゼロとはいえません。「もしも」のときに備えて、ロンドンでの医療機関のかかり方について説明しましょう。

海外旅行傷害保険には必ず加入する

公営のWALK-INセンターは旅行者でも診てくれる

公営のWALK-INセンターは旅行者でも診てくれる

英国では、公営病院にかかるなら、基本的に医療費は無料(薬代は別途かかる)という制度があります。しかし、長時間の順番待ちや言葉の問題を考えると、「もしも」のときには、在英法人向けの医療サービスを行っている日本人経営のクリニックにかかることをおすすめします。ただ、「外国にある日本人向けの医療機関」の診察費や処置費は、日本で病院にかかるときと比べ数倍から数十倍も高価なのが現実。そんなとき、力になってくれるのが海外旅行傷害保険です。ロンドンでカゼをひいて、日本人ドクターに診察を受けて、薬をもらったら、だいたい150~200ポンド近くかかります。一方、保険料はといえば、1週間の滞在のもので1万円たらず。しかも、保険には携行品盗難時の補償など、別の事故も保障してくれます。「私は絶対に大丈夫」という確信はやめて、出発前に保険への加入をすませておきましょう。

「もしも」体調を崩したら

最近は「緊急の歯科疾病」に対応する旅行保険も

最近は「緊急の歯科疾病」に対応する旅行保険も

体調を崩した、けがをした、そんなときはまず、加入している保険会社へ連絡しましょう。日本で加入した保険なら、必ず日本語で24時間対応してくれるホットラインがありますから、まずそこへ電話しましょう。また、出発前にどの電話番号にかければよいか、保険証に添付されている案内書や、加入した保険会社のウェブサイトなどで確認するようにしましょう。ホットラインにかけて、オペレータとつながったら、病気(ケガ、事故)の内容を伝えて下さい。その状況に応じ、保険会社が病院の予約案内などを説明してくれます。保険会社の提携病院(クリニック)に行くときは、たいてい保険会社から直接医療機関に支払いを済ませてくれる「キャッシュレス」の手続きも同時に進めてくれます。

病院に行く

保険会社から案内を受けた病院に向かうことになったら、その交通費ものちほど保険請求できるので、領収書やレシートなどを必ずとっておきましょう。日本人向けクリニックなら、その医療機関に無事に到着さえすれば、あとは日本人のスタッフが状況に応じて対応してくれます。また、薬については、院内薬局で処方してくれるのが一般的ですが、処方せんをもらって外の薬局で購入するように案内されることも(ごくまれに)あります。

日本人向けクリニックの例

○Dr. 伊藤クリニック
TEL: 020-7637-5560
17 HARLEY STREET, LONDON, W1G 9QH
UK44-(0)207-637-5560

○ロンドン医療センター  LONDON IRYO CENTRE
TEL: 020-8202-7272 
234-236 HENDON WAY, LONDON, NW4 3NE

○グリーンメディカル JAPAN GREEN MEDICAL CENTRE
TEL: 020-7330-1750
・City Medical Center (シティ本院)
10 THROGMORTON AVENUE, LONDON, EC2N 2DL
・Acton Clinic (アクトン分院)
UNIT 7, ACTON HILL MEWS, 310-328 UXBRIDGE ROAD, LONDON, W3 9QU

○ 日本クラブ NIPPON CLUB MEDICAL CLINIC
・北診療所
TEL: 020-7266-1121
HOSPITAL OF ST. JOHN AND ST. ELIZABETH, 60 GROVE END ROAD,
ST. JOHN’S WOOD, LONDON NW8 9NH
・南診療所
TEL: 020-8971-8008
THE LODGE, PARKSIDE HOSPITAL, 53 PARKSIDE, WIMBLEDON, LONDON SW19 5NX

緊急時に救急病棟に行く

A&Eは赤い看板が目印

A&Eは赤い看板が目印

診療時間外など、日本人クリニックでの対応が難しい場合は、公営総合病院の救急病棟に行くことになります。交通事故など、口も聞けないような大きな事故に遭ったときは、問答無用でこれらの大病院に搬送されます。A&Eと呼ばれるこのサービスは24時間いつでも対応。病状、症状に応じて、緊急性のある人(ない人)で振り分けられる上、夜間はとても込み合うため、病院に着いてから診察が受けられるまで数時間かかることもあります。なお、医療費は旅行者でも無料となっています。
■ A&Eが設置されている病院の例
○THE ROYAL LONDON HOSPITAL
WHITECHAPEL Road, WHITECHAPEL, LONDON E1 1BB
A&Eの受付

A&Eの受付

時間帯によってはとても込み合うA&Eの待合室

時間帯によってはとても込み合うA&Eの待合室

A&Eの入口(ロイヤル・ロンドン・ホスピタル)

A&Eの入口(ロイヤル・ロンドン・ホスピタル)

■ ロンドンで薬を買う

ロンドンのあちこちにあるドラッグストア「ブーツ」

ロンドンのあちこちにあるドラッグストア「ブーツ」

軽微な症状の場合、街のあちこちにある薬局(ブーツなど)で薬を買って飲むという方法もあります。風邪薬や痛み止め、胃腸薬など、いわゆる「救急箱に入っているような薬品」は、とくに処方せんがなくても自由に買えます。ただ、1日当たりの飲む回数や、1回でいくつ飲むかといった説明書を英語で読みこなさねばなりません。なお、医師の指示なしに薬局などで薬を買って飲んでも、薬代は保険請求できない仕組みになっています。

病院にお世話になった特殊な例

ロンドンの日本人医師から伺った「旅行者が病院にかかった特殊な例」をいくつか紹介しましょう。

1) 処方薬を紛失した
日本で処方された「必ず毎日飲まねばならない薬」をロンドンで紛失。薬局に行っても買えないため、急遽日本人クリニックで相談。診察などを受けた上で、日本で普段飲んでいる薬とほぼ同等のものを用意できた。

2) 時差ぼけが悪化し心身症になった
特に冬季の「日照時間」が短いときに頻発。時差ぼけに加え、環境の急速な変化で「うつ症状」を呈したため、クリニックを受診。心療内科の専門家(日本人)のアドバイスと投薬を受け改善した。


病院にお世話になることはできるだけ避けたいものです。でも、「転ばぬ先の杖」として、現地の医療事情を知っておくと心強いでしょう。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2010-09-29

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