学問と宗教の町、ケンブリッジを歩く~カレッジ橋を巡ろう!編

ケンブリッジの名まえの由来は「ケム川にかかる橋」。ケム川の恵みを受けながら、その歴史を育んできたケンブリッジ。美しいケム川に寄り添うように並ぶカレッジとカレッジ橋をご紹介!

こんにちは!ロンドンナビです。ケム川+ブリッジ(橋)= ケンブリッジ! そう、「ケンブリッジ」という名まえの由来は、ここからきているのです。 城壁のように市内を囲み、流れるケム川。この美しい川とともに、ケンブリッジの歴史は育まれてきました。ケム川はいくつかのカレッジ内を流れています。今回は、カレッジ内にかかる橋をめぐりましょう!

ケム川(the River Cam)とケンブリッジ
南西から市内へ入るケム川は、いくつかのカレッジをとおり北へ流れていきます。セントジョ-ンズカレッジを最後に横切ると、川は東へ曲がり越流ダム(河川水位を一定にする堤防)を通り町をぬけていきます。そしてその先およそ19kmの地点でイングランド中部から東部にかけて流れるウーズ川に合流、北海へと注ぎます。中世には重工業製品をはじめとする様々な商品が川を利用して運ばれ、町は栄えました。その後鉄道がしかれ河川水運が衰退すると、今まで仕事につかっていたボートを住まいに変え、川の上で生活したといいます。このように川は町の発展に貢献し、人々の生活を支えてきました。そして今なお、ケム川でのパンティング(平底船での川下り)がケンブリッジの観光業を支えています。
手前にあるのがパント用平底船

手前にあるのがパント用平底船

観光客に大人気のパント

観光客に大人気のパント

カモなどの野生動物もみられる

カモなどの野生動物もみられる

キングス橋 (King's Bridge ) / トリニティの石橋 (the stone bridge)

キングスカレッジ~キングス橋 (Kings Bridge )
ケンブリッジ一の観光名所、キングスカレッジ。そのゲートハウスをぬけ、チャペルを右手にまっすぐ進むと、「the back lawn」とよばれる広大な芝生がみえてきます。 芝生の緑を楽しみながらさらに進むとキングス橋。建設当初は、芝生の真ん中に道があり、道と橋が一直線につながっていたそう。その後、橋は少し南側へ移動、現在の位置になったとのこと。橋をちょうどこえたところに大理石がたっています。中国詩が刻まれているこの石は、中国人のカレッジ卒業生によるもので、中国人の間では有名だとか!橋からながめるゴシック様式のチャペルと芝生のコントラストは一見の価値あり。
はやわかり!キングスカレッジ
ケンブリッジで最も美しいといわれているこのカレッジは、1441年にヘンリー6世により創設されました。映画「モーリス」の舞台にもなり、話題をよびました。カレッジの自慢はチャペル。 有名なルーベンスの絵画が祭壇に飾られています。 キングスカレッジの聖歌隊の歌声は、 毎年クリスマスにテレビで中継されるほどの実力。キングスカレッジ出身有名人は、経済学者のディケンズ。
芝生からみるキングスカレッジ

芝生からみるキングスカレッジ

橋までつづくゆるやかな小道

橋までつづくゆるやかな小道

中国の詩が刻まれた石

中国の詩が刻まれた石


トリニティカレッジ~トリニティの石橋 (the stone bridge)
トリニティカレッジで最高傑作といわれる建物、レンライブラリー。そこから続く遊歩道にはケム川が臨めるベンチがあります。そこに腰かけ、すぐそばを通り過ぎるパントを楽しむ人達をながめていると、時間がたつのを忘れてしまいます。道なりに歩いていくと、トリニティの石橋。橋からは、お隣セントジョーンズカレッジのニューコートが蜃気楼のようにうかびあがってみえます。この石橋をわたると、緑のすきまから光がさしこみ、幻想的な風景が美しいライムの並木道。時間に少し余裕をもって訪れると、日常を忘れて、ゆっくりとすぎていく時間を満喫できますよ!
はやわかり!トリニティカレッジ
トリニティカレッジは1546年、ヘンリー8世がもともとあったマイケルハウス( Michaelhouse)キングスホール( とKings Hall) を併合して創られました。設立以来、30人以上のノーベル賞受賞者を輩出し、目覚しい躍進を続けているこのカレッジは、ケンブリッジ大学の中で一番のお金持ちといわれています。ニュートンの出身校としても知られていて、その他にもアラン・アレクサンダー・ミルン(くまのプーさん作者)などの有名人も在籍していました。
美しい中庭をもつトリニティカレッジ

美しい中庭をもつトリニティカレッジ

トリニティ橋からの眺め

トリニティ橋からの眺め

橋がくっきりと水面に映る

橋がくっきりと水面に映る

ため息橋(Bridge of Sighs) / レンブリッジ( Wren Bridge)

隣り合っている2つの橋

隣り合っている2つの橋

セントジョーンズカレッジ~ため息橋(Bridge of Sighs)、レンブリッジ( Wren Bridge)
セントジョーンズカレッジは、ケム川にかかる橋を2つ、もっています。それが「ため息橋」と「レンブリッジ」。そのうちのひとつ「ため息橋」は特に有名。ケンブリッジ観光名所のひとつとなっています。2つの橋は隣りあっているため、「レンブリッジ」を「ため息橋」とまちがえる観光客も多いとか。「ため息橋」は関係者以外立ち入り禁止。そのため、カレッジで表示している観光コースをめぐっていくと、たどりつくのは「レンブリッジ」です。みなさん、お間違えのないように!
レンブリッジ( Wren Bridge)
ケム川が流れる最後のカレッジがこちらのセントジョンズカレッジ。そして、ケム川にかかるケンブリッジの橋の中で2番目に古いといわれているのがこのレンブリッジ( Wren Bridge)です。イギリスを代表する建築家、クリストファー・レン(Christpher Wren)が設計したため、彼の名がそのままついているそう。現在はテラスとなっていますが、その場所に以前はキッチンがあり、キッチンの通路からつながっていたことから、キッチンブリッジとも呼ばれています。レンブリッジから眺めるため息橋はケンブリッジの記念撮影スポットのひとつとして知られています。
ため息橋(Bridge of Sighs)
フランスはヴェネツィアの「ため息橋」をモチーフにつくられたというこの橋。「試験のできが悪かった学生がため息をつく場所」「ケンブリッジのレベルについていけない学生がため息をつく場所」など、さまざまなうわさが流れています。この橋はセントジョンズカレッジのニューコートとサードコートを結んでいて、その美しさは、かのヴィクトリア女王に "so pretty and picturesque".(なんてステキで絵になる橋なんでしょう)と言わしめたというほど。観光客は橋を渡ることができませんが、レンブリッジからみるその橋の美しさに、きっとため息がでるにちがいありません!
ケム川が最後に横切っていくセントジョーンズカレッジ

ケム川が最後に横切っていくセントジョーンズカレッジ

はやわかり!セントジョーンズカレッジ
ケム川にかかる橋を2つもっているこのカレッジは、フロントゲート上部にかがけられている修道士セントジョンが営んでいた病院の跡地にたてられました。 創立後、500年にわたり、カレッジはケム川の西部へ徐々に広がっていき、現在はケンブリッジ大学の中で最も多い11のコートをもつまでの巨大カレッジとなっています。

数学の橋 (The Mathmatical Bridge)  / クレア橋(Clare Bridge) 

クィーンズカレッジ~数学の橋 (The Mathmatical Bridge)
「この橋は、ニュートンの設計なんですよ。ボルトやナットを一切使っていなかったのですが、あるとき、カレッジの学生がどうしてボルトやナットを使わずに橋を作ることができたのかと、橋を分解してみました。しかし結局わからず、もう一度組み立てようとしましたがそれもできず、現在のボルトやナットを使った橋になってしまったんです。」これは、この数学橋にまつわる根拠のない作り話。でも、この話を本当に信じている人も多いとか。1749年に建設されたこの橋は、その幾何学的構造から「数学の橋」と呼ばれています。もちろん、ニュートンとは何の関係もなく、ボルトやナットもしっかり使っています。
クィーンズカレッジのゲート

クィーンズカレッジのゲート

はやわかり!クィーンズカレッジ
1448年にヘンリー6世の妻が設立、その後エドワード4世の妻が後見人となり、クィーンズカレッジは成長しました。そう、このカレッジは二人の女王により擁護されてきたのです。それが「 The  Queens` College」という複数形のカレッジ名に反映されているのだそう。ただし、当初は単数形 「The Queen`s College」でした。「Queen`s」から 「Queens`」へスペルをかえたのは意外と新しく、19世紀になってから。現在でも両方のスペルが存在し、時と場合により使い分けられるということです。

クレアカレッジ~クレア橋(Clare Bridge)
清教徒革命の時代、カレッジに架かる多くの橋が壊されたそうですが、その激動の時代を生き延びたというのがこのクレア橋。クレア橋は、現在ケンブリッジでのこっている橋のなかで、最も古いといわれています。14個の球形の石で飾られている橋は、とても美しく印象的ですが、一部が欠けている石がひとつ、あるのに気付くはず。なぜ?という疑問をカレッジの学生に聞いてみると、ここでも有名な作り話がでてきます。ひとつは、この橋を作った職人が十分な報酬を支払ってもらえなかったため、その報酬額とおりにと石の一部分を削ってしまったという話。もうひとつは、 石の部分修理の際に丸型にセメントされたはずの石がV字にぬけて川におちた、といういもの。いかにも本当らしい作り話にびっくり?!
クレアカレッジのファーストコート

クレアカレッジのファーストコート

はやわかり!クレアカレッジ
自由で革新的イメージが強いクレアカレッジは、1326年に創立のケンブリッジ大学の中で2番目に古いカレッジ。創立当時のカレッジ名はユニバーシティホール。その後財政難におちいり、エドワード1世の孫娘エリザベス・ドゥ・クレア(Elizabeth de Clare)により再建。その名をとり、クレアホールとなりました。その後クレアカレッジに名称変更し、現在にいたっています。ケンブリッジ内では音楽大学としてしられていて、カレッジオーケストラは特に有名です。だからクレアカレッジ所属の多くの学生は、楽器を演奏できるとか。


ケンブリッジという名まえの由来とおり、美しい町と橋は、歴史をともに歩んできました。市内にはケム川にかかる美しい橋がほかにもたくさんあります。ケンブリッジへ立ち寄った際は、いろいろな橋からケム川をながめてみてください!以上、ロンドンナビでした!
モードリンブリッジ(モードリンストリート)

モードリンブリッジ(モードリンストリート)

シルバーブリッジ(シルバーストリート)

シルバーブリッジ(シルバーストリート)

その他情報

町とともに長い歴史をゆるやかに育んできた、ケム川にかかるカレッジ橋をカレッジとともにご紹介!

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2011-03-04

ページTOPへ▲

関連記事

ケンブリッジ

ケンブリッジ

キングスクロス駅から約50分のところにあるイギリス東部の町。世界屈指の大学の地で、学問と宗教の歴史が凝縮。

その他の記事を見る